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BUGS House| 2016

Type :design project/research

Member :Yusuke Takahashi / Takuya Onishi (Professor)

AWARD&EXHIBITION : XD exhibition Grand Prix(学部・修士合同卒業制作展)

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 本制作を始める3年前にFAO(国際連合食糧農業機関)によって昆虫の食材としての可能性を示唆する論文が発表された。Edible insects Future prospects for food and feed securityという名のその論文には200P以上にわたって昆虫食の食としての有用性や栄養に関する詳細な情報、昆虫食の歴史などが事細かに記されていた。背景には人口増加による食糧不足が挙げられていた。たしかに昆虫の繁殖力はすさまじく、また飼育するにあたって必要な水やえさの量は動物を育てるよりもはるかに少なくてすむ。非常に合理的な昆虫食は将来のスタンダードになるのだろうか?この疑問に対する私の最初の答えは明確にNOであった。なぜなら食とは単なる栄養摂取ではないからである。昆虫が大の苦手である私にとっては、昆虫を食べることなど想像できなかったのである。

 しかし、もし昆虫を食べることがスタンダードになるとしたらそれには何が必要なのだろうか。それをデザインのアプローチで模索することは面白いのではないか。このようなちょっとした実験心から昆虫を育てることとなった。

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 昆虫食の嫌悪感に関してはいろいろな意見があると思うが、私は『昆虫=得体のしれないもの、汚いところにいるもの』と感じていた。本制作では、その思い込みをいかにしてプロダクトデザインによって解消するかということを1つのテーマとした。同時に食糧問題と強く結びついていることもあり、効率よく育てることをもう一つの軸とした。そこで実際にコオロギを飼育しながら、上記のようなことを実現可能なプロダクトを模索した。しかし、実際にはたった数十匹のコオロギを満足いくように育てることすら難しかったのである。そこで観察を続けているうちに3つめの重要な要素に思い至った。それは人間中心設計ではなく、コオロギ中心設計にする必要である。つまり人のためのプロダクトをデザインしながらコオロギのための家をデザインする必要であるということである。コオロギの生態に合うようにデザインすることが結果として最適な環境をつくることができるのではないかという思い付きである。このような3つの軸を中心に観察とプロトタイピングを繰り返し完成したものが本プロジェクトにおけるアウトプットである。

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